低温調理を行うには、食材の周りを十分に均一な温度に保つ必要があります。
湯煎方式では真空包装した食材を食材に比べて十分大きい容量の水に入れ、水温を設定温度にします。弊社の低温調理器は今までにない新しい加熱方式で、ごく省エネです。
ここでは消費電力の実測値と理論値をご紹介します。
2-1消費電力の理論値
2-2湯煎方式との比較
1.消費電力の実測
開発中の新しい低温調理器を48時間、設定温度を75度にして積算電力を測りました。室温は25度で、加熱板が設定温度75度になるまでにかかった時間は13分30秒でした。
結果は2日間で1.6KWhでした。グラフ1に示します。
グラフ1を見ると
加熱板が室温から設定温度になるまでの13分30秒間の初期加熱では急激に電力を使い、その後は温度維持のため、断熱しきれずに逃げた熱を補うため一定の傾きで推移しています。
使用電力はおよそ0.03kW=30W でした。
2日間75℃を維持するのにかかる電気代はどれくらいでしょうか?
電気料金が25円/kWh(1キロワットアワーあたり25円)だったとしたら、
1.6kWh x 25円/kWh = 40円になります。
実際の調理は5~6時間以内で、設定温度60度前後のものも多く、それらはこの測定値より少ない電力量になります。
使用した電力計は Omron KM-N1-FLK です。
グラフ1 電源オンからの経過時間における低温オーブン加熱板温度、および積算電力×10
13分30秒で設定温度75℃になっています。積算電力だけをグラフ2で示します。
グラフ2 低温オーブンを設定75℃で2日間運転したときの積算電力(実測値)
2.消費電力の理論値 湯煎方式との比較
室温25℃から設定温度75℃(温度上昇は50℃)にするために必要な電力を計算します。
2-1消費電力の理論値
開発中の低温調理器で、加熱板のアルミニウムの比熱は0.88J/g 質量は5 Kgです。
この温度を50℃上昇させるのに必要な電力量は、
0.88[J/g・℃] ×5000[g]×50[℃]/3600[J/Wh]=61 Wh=0.061 KWh
となります。25℃から75℃になるまでにかかった電力の実測値は0.1 KWhです。電力量計の分解能は0.1 kWhなので理論値との矛盾はありません。電気料金が25円/kWh(1キロワットアワーあたり25円)だったとしたら、温度を50℃上昇させるための電気代は理論値0.061 x 25 =1.53円になります。
2-2湯煎式低温調理器との比較
本調理器の庫内容積は17.5[l]です。湯煎式の低温調理器において同じ容積の湯煎槽の水温を50℃上昇させるのに必要な電力量は、
17500[g]×4.217[J/g・℃ ]×50[℃]/3600[J/Wh]=1025Wh=1.025KWh
となります。湯煎方式では最初の加熱のために、開発中の低温調理器と比較して、16.8倍の電力量を必要とします。電気料金が25円/kWh(1キロワットアワーあたり25円)だったとしたら、湯煎で温度を50℃上昇させるための電気代は1.025 x 25 =25.6円になります。